スイクン

弱点の少ない水タイプであり、耐久の高さから安定して追い風を撃てるポケモンであるスイクン。一見扱いは簡単そうに見えるが使いこなすのは意外と難しい。

追い風は4ターンの間(発動ターンも含めるため実質3ターンの間)味方の素早さを2倍にするという強力な技だがいつ発動するかはよく考える必要がある。撃つタイミングは大きく分けて序盤か終盤のどちらか。序盤に相手の戦力を奪って後続のポケモンの一貫性を作り出すため、もしくは終盤安全に詰めるために撃つことが多くなるだろう。

追い風を撃ったはいいものの、そのあといまいち攻めきれないで追い風ターンを消費してしまうという状況をそれなりによく見る。追い風の持続ターンは3ターンと短く、攻める体制が整っていない場面で発動しても無駄撃ちになりやすい。追い風は戦況を一気に有利にできる、または確実に詰められるという確信が持てる場面で発動すべきである。

同じく優秀な追い風要因であるトルネロスエルフーンとの違いは耐久の高さから2回以上の追い風の使用を見込めるという点と鋼ポケモン、特にヒードランに対して打点が持てるという点だろう。2回以上追い風を撃つなら襷トルネや襷エルフでも可能だが水の打点で鋼を削ることができるのはスイクンだけである。

とはいえスイクンは基本的には追い風を撃つポケモンであり、鋼タイプを削るために前に出すことは極力したくない。スイクンに鋼に対する削りと追い風の発動の両方を任せたために鋼を狙って前に出したタイミングで体力を削られてしまい、肝心な場面で追い風が撃てないというような状況も見かけることがある。鋼に対する打点は他で確保して、スイクンが極力追い風を撃つために動けるように選出や立ち回りを考える必要がある。

スイクンは追い風により味方の補佐が出来る上に鋼に対する遂行能力を備えた強力なポケモンであり、試合を決定づける場面は非常に多い。しかしながら火力は低めで追い風を効果的に使えない場合や水技を鋼に合わせられない場合はただの置物になってしまうこともある。構築段階でスイクンの負担が重くなりすぎないか、または置物になるような場合がないかをよく考える必要がある。